古典和歌stream

山家集 - 西行

いつか我昔の人と言はるべき
重なる年を送り迎へて

いつか私も「昔の人」と言われるようになるのだろう。重なってゆく年を送っては迎えしながら。

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山家集 - 西行

逢はざらんことをば知らで帚木の
伏屋と聞きて尋ね来にけり

逢ってはもらえないだろうということを知らないで、帚木のある伏屋だと聞いて、はるばる訪ねて来てしまったことだ。

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山家集 - 西行

立て初めて帰る心は錦木の
千束待つべき心地こそせね

錦木を立てはじめたばかりで帰ってゆく心は、錦木が千束になるまで待っていられるような気持ちなど、とてもしないことだ。

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山家集 - 西行

おぼつかないかにと人のくれはとり
あやむるまでに濡るる袖かな

気がかりなことだ。どうしたのかと人が怪しむほどまでに、涙に濡れる私の袖であることよ。

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山家集 - 西行

なかなかに夢に嬉しき逢ふことは
うつつに物を思ふなりけり

かえって、夢の中で嬉しく逢うということは、目覚めた現実で物思いをすることになるのであった。

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山家集 - 西行

逢ふと見ることを限れる夢路にて
覚むる別れのなからましかば

逢うと見ることだけに限られた夢の中の通い路であっても、目覚めるという別れさえなかったならばよいのに。

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山家集 - 西行

夢とのみ思ひなさるるうつつこそ
あひ見しことのかひなかりけれ

ただ夢だったとばかり思えてしまう現実こそ、逢うことができたかいもないことであった。

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山家集 - 西行

今朝よりぞ人の心はつらからで
明けはなれゆく空を恨むる

今朝からは、あの人の心はつらいとは思わなくなって、すっかり明けてゆく空のほうを恨むことだ。

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山家集 - 西行

逢ふことを忍ばざりせば道芝の
露より先におきて来ましや

逢うことを人目に忍ぶのでなかったならば、道ばたの芝草に露が置くよりも先に起きて、帰って来たりしただろうか。

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山家集 - 西行

さらぬだに帰りやられぬしののめに
添へて語らふ郭公かな

そうでなくてさえ帰って行く気になれない明け方に、それに添えるように鳴いて語りかける郭公であることよ。

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山家集 - 西行

重ねてはこひえまほしき移り香を
花橘に今朝たぐへつつ

もう一度重ねて乞い受けたいと思うあの人の移り香を、今朝は花橘の香りになぞらえながら偲んでいる。

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山家集 - 西行

やすらはん大方の夜は明けぬとも
闇とか言へる霧にこもりて

ぐずぐずとためらっていよう。世間一般の夜は明けてしまったとしても、闇とでもいうような深い霧の中にこもって。

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山家集 - 西行

ことづけて今朝の別れをやすらはん
時雨をさへや袖にかくべき

時雨を口実にして、今朝の別れをためらっていよう。涙ばかりか、時雨までも袖に受けて帰るべきだろうか。

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山家集 - 西行

つらくとも逢はずは何のならひにか
身のほど知らず人を恨みん

たとえあの人が冷淡であっても、一度も逢わなかったのであれば、何の習いがあって、身のほども知らずにあの人を恨んだりしようか。

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山家集 - 西行

さらばたださらでぞ人のやみなまし
さて後もさはさもあらじとや

それならば、いっそそうしないで、あの人は終わりにしてしまえばよかったのだ。一度逢ってその後も、そのようなことは二度とあるまいというのか。

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山家集 - 西行

漏らさじと袖にあまるをつつままし
情けを忍ぶ涙なりせば

人に漏らすまいと、袖からあふれる涙も包み隠しもしよう。もしこれが、あの人の情けをひそかに慕って流す涙であったならば。

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