古典和歌stream

山家集 - 西行

唐衣たち離れにしままならば
重ねてものは思はざらまし

唐衣を裁つように、一度離れてしまったままであったならば、重ねて物思いをすることもなかったろうに。

詳細を見る

山家集 - 西行

賤の女がすそとる糸に露添ひて
思ひにたがふ恋もするかな

身分の低い女が扱う糸に露が加わって思うようにならないように、思いに反する恋をすることだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

折らばやと何思はまし梅の花
なつかしからぬ匂ひなりせば

折り取りたいなどとどうして思ったりしようか、梅の花よ。もしその香りが心ひかれるものでなかったならば。

詳細を見る

山家集 - 西行

行きずりに一枝折りし梅が香の
深くも袖に染みにけるかな

通りすがりにひと枝折った梅の香りが、なんと深く袖に染みついてしまったことか。

詳細を見る

山家集 - 西行

つれもなき人に見せばや桜花
風に従ふ心弱さを

つれない人に見せたいものだ、桜の花よ。風に素直に従って散るお前の心の弱さを。

詳細を見る

山家集 - 西行

花を見る心はよそに隔たりて
身につきたるは君が面影

花を見る心は花からよそへと離れてしまって、この身にぴったりと付き添っているのはあなたの面影である。

詳細を見る

山家集 - 西行

葉隠れに散りとどまれる花のみぞ
忍びし人に逢ふ心地する

葉陰に散り残っている花だけが、ひそかに恋い慕った人に逢うような気持ちがする。

詳細を見る

山家集 - 西行

つれもなく絶えにし人を雁がねの
帰る心と思はましかば

冷たく途絶えてしまった人を、北へ帰ってもまた戻ってくる雁の心だと思うことができたならばよいのに。

詳細を見る

山家集 - 西行

朽ちてただしをればよしや我が袖も
萩の下枝の露によそへて

朽ちてただ萎れてしまうのならば、それもかまわない。私の袖も、萩の下枝に置く露になぞらえて。

詳細を見る

山家集 - 西行

妻恋ひて人目つつまぬ鹿の音も
うらやむ袖のみさをなるかは

妻を恋い慕って人目もはばからずに鳴く鹿の声さえうらやむ私の袖は、平然としていられようか、いや涙に濡れずにはいられない。

詳細を見る

山家集 - 西行

一方に乱るともなき我が恋や
風定まらぬ野辺の刈萱

ひとつの方向に乱れるというのでもない私の恋であることよ。吹く向きの定まらない風になびく野辺の刈萱のように。

詳細を見る

山家集 - 西行

夕霧の隔てなくこそ思ほゆれ
隠れて君が逢はぬなりけり

夕霧のような隔てなど何もないと思われるのに、実はあなたが隠れていて逢ってくれないのであった。

詳細を見る

山家集 - 西行

わが涙時雨の雨にたぐへばや
紅葉の色の袖にまがへる

私の涙を時雨の雨になぞらえたいものだ。紅葉の色と見まがうほどに、袖が紅く染まっている。

詳細を見る

山家集 - 西行

朝ごとに声をとどむる風の音は
夜を経てかかる人の心か

朝が来るたびに音を立てなくなってゆく風の音は、夜を重ねるにつれてこのようになってゆくあの人の心なのだろうか。

詳細を見る

山家集 - 西行

春を待つ諏訪のわたりもあるものを
いつを限りにすべきつららぞ

春を待てば解ける諏訪の湖の氷の渡りもあるというのに、私の氷はいつを終わりとすればよいのだろうか。

詳細を見る

山家集 - 西行

わが袖の涙かかると濡れてあれな
うらやましきは池の鴛鴦

私の袖の涙がかかったのだと思って、濡れていてほしい。うらやましいのは、いつもつがいでいる池の鴛鴦である。

詳細を見る