古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

いでやなぞ数ならぬ身にかなはぬは
人に負けじの心なりけり

さてどうしたことか、物の数でもない我が身で思うようにならないのは、人に負けまいとする心なのだった。

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源氏物語 - 紫式部

わりなしやつよきによらむ勝負を
心ひとつにいかがまかする

無理なことを。強い方によるはずの勝ち負けを、あなたの心ひとつでどうして負かせるというのか。

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源氏物語 - 紫式部

あはれとて手をゆるせかし生死を
君にまかするわが身とならば

気の毒だと思って手をゆるめてほしい。生き死にをあなたに任せる我が身であるのなら。

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源氏物語 - 紫式部

花を見て春は暮らしつ今日よりや
しげきなげきのしたにまどはむ

花を見て春は過ごした。今日からは生い茂る嘆きの下に迷うのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

今日ぞ知る空をながむる気色にて
花に心をうつしけりとも

今日こそ分かった。空を眺めているような様子で、実は花に心を移していたのだと。

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源氏物語 - 紫式部

あはれてふ常ならぬ世のひと言も
いかなる人にかくるものぞは

あはれという、無常なこの世での一言も、どのような人に向けてかけるものなのか。

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源氏物語 - 紫式部

生ける世の死は心にまかせねば
聞かでややまむ君がひとこと

生きているこの世では死ぬことも心のままにならないので、あなたの一言を聞かないまま終わってしまうのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

手にかくるものにしあらば藤の花
松よりまさる色を見ましや

手に取ってかけられるものであったなら、藤の花の、松よりもまさるその色を見ることができただろうか。

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源氏物語 - 紫式部

むらさきの色はかよへど藤の花
心にえこそかからざりけれ

紫の色は通っていても、藤の花は私の心のままにかかってはくれなかったのだ。

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源氏物語 - 紫式部

竹河のその夜のことは思ひ出づや
しのぶばかりのふしはなけれど

竹河を歌ったあの夜のことは思い出すだろうか。偲ぶほどの節もなかったけれど。

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源氏物語 - 紫式部

流れてのたのめむなしき竹河に
世はうきものと思ひ知りにき

年月が流れて、頼みに思わせてくれたことも空しくなった竹河に、この世はつらいものだと思い知った。

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源氏物語 - 紫式部

うち捨ててつがひ去りにし水鳥の
仮のこの世にたちおくれけむ

私を残して連れ合いが去っていった水鳥のように、はかないこの世に私だけが生き後れてしまったのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

いかでかく巣立ちけるぞと思ふにも
憂き水鳥の契りをぞ知る

どうしてこのように育ってこられたのかと思うにつけても、水鳥のようなつらい身の上の宿縁が思い知られる。

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源氏物語 - 紫式部

泣く泣くも羽うち着する君なくは
われぞ巣守になりは果てまし

泣きながらも羽をかけて育ててくださる父上がいなかったら、私は孵らない卵のまま終わってしまっただろう。

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源氏物語 - 紫式部

見し人も宿も煙になりにしを
何とてわが身消え残りけむ

連れ添った人も住まいも煙になってしまったのに、どうして私の身だけが消えずに残ったのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

世を厭ふ心は山にかよへども
八重立つ雲を君や隔つる

俗世を厭う気持ちはそちらの山に通っているのに、幾重にも立つ雲であなたが私を隔てているのだろうか。

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