古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

朝霧に友まどはせる鹿の音を
おほかたにやはあはれとも聞く

朝霧の中で友を見失った鹿の声を、ありふれたものとしてしみじみ聞いていられるだろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

色変はる浅茅を見ても墨染に
やつるる袖を思ひこそやれ

色の変わった浅茅を見るにつけても、墨染の喪服にやつれているあなたの袖のことが思いやられる。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

色変はる袖をば露の宿りにて
わが身ぞさらに置き所なき

色の変わった袖は涙の露が宿るところとなっているが、この身にはさらに置き所というものがない。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

秋霧の晴れぬ雲居にいとどしく
この世をかりと言ひ知らすらむ

秋霧の晴れない空で、いっそう強く、この世は仮のものだと雁が鳴いて知らせているのだろう。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

君なくて岩のかけ道絶えしより
松の雪をもなにとかは見る

父上が亡くなって岩の懸け道の行き来も絶えてしまってから、松に積もる雪をも何と思って見ればよいのだろう。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

奥山の松葉に積もる雪とだに
消えにし人を思はましかば

せめて奥山の松葉に積もる雪とだけでも、亡くなった父上を思うことができたならよかったのに。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

雪深き山のかけはし君ならで
またふみかよふ跡を見ぬかな

雪の深い山の懸け橋には、あなたのほかに踏み分けて通ってくる跡を見ることがない。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

つららとぢ駒ふみしだく山川を
しるべしがてらまづや渡らむ

氷に閉ざされて馬が踏み砕いていく山川を、道案内をするついでに、まず私が渡ってしまおうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

立ち寄らむ蔭と頼みし椎が本
空しき床になりにけるかな

立ち寄るべき木蔭と頼みにしていた椎の木の根もとは、いまは空しい床になってしまったことだ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

君が折る峰の蕨と見ましかば
知られやせまし春のしるしも

父上が手折ってくださった峰の蕨と見ることができたなら、春が来たしるしとも思われただろうに。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

雪深き汀の小芹誰がために
摘みかはやさむ親なしにして

雪の深い水際の小芹を、誰のために摘んで喜べばよいのだろう。親のない身であってみれば。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

つてに見し宿の桜をこの春は
霞隔てず折りてかざさむ

人づてに見ただけだったお宅の桜を、今年の春は霞に隔てられることなく、手折って挿頭にしたい。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

いづことか尋ねて折らむ墨染に
霞みこめたる宿の桜を

どこと思って訪ねて手折るのだろう。墨染の色に霞みこめられている、この家の桜を。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

あげまきに長き契りを結びこめ
同じ所に縒りも会はなむ

総角結びに末長い約束を結びこめて、同じ所で縒り合わさるように、あなたと一つになりたい。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

ぬきもあへずもろき涙の玉の緒に
長き契りをいかが結ばむ

貫きとめることもできずこぼれる、もろい涙の玉の緒に、末長い約束をどうして結べるだろう。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

山里のあはれ知らるる声々に
とりあつめたる朝ぼらけかな

山里のしみじみとした情趣が思い知られるさまざまな声に、あれこれの思いが集まってくる明け方であることよ。

詳細を見る