古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

秋はてて寂しさまさる木のもとを
吹きな過ぐしそ峰の松風

秋が終わって寂しさの増す木のもとを、吹き過ぎていかないでほしい、峰の松風よ。

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源氏物語 - 紫式部

若草のね見むものとは思はねど
むすぼほれたる心地こそすれ

若草のように共寝をしようと思うわけではないが、気持ちが晴れずふさぎこんでいる心地がする。

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源氏物語 - 紫式部

眺むるは同じ雲居をいかなれば
おぼつかなさを添ふる時雨ぞ

眺めているのは同じ空なのに、どうして心もとなさを添えてくる時雨なのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

霰降る深山の里は朝夕に
眺むる空もかきくらしつつ

霰の降る深い山里では、朝も夕も、眺める空がずっと暗く曇っている。

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源氏物語 - 紫式部

霜さゆる汀の千鳥うちわびて
鳴く音悲しき朝ぼらけかな

霜が冷たく凍る水際の千鳥が、耐えかねて鳴く声の悲しい明け方であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

暁の霜うち払ひ鳴く千鳥
もの思ふ人の心をや知る

明け方の霜を払って鳴く千鳥は、物思いに沈む人の心を知っているのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

かき曇り日かげも見えぬ奥山に
心をくらすころにもあるかな

空が曇って日の光も見えない奥山で、心を暗くして過ごすこのごろであることよ。

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源氏物語 - 紫式部

くれなゐに落つる涙もかひなきは
形見の色を染めぬなりけり

紅の血の涙が落ちても甲斐がないのは、形見となる喪服の色に染めることができないからなのだ。

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源氏物語 - 紫式部

おくれじと空ゆく月を慕ふかな
つひに住むべきこの世ならねば

後れまいと、空を渡っていく月を慕うことだ。いつまでも住み続けられるこの世ではないのだから。

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源氏物語 - 紫式部

恋ひわびて死ぬる薬のゆかしきに
雪の山にや跡を消なまし

恋いわびて死ぬための薬がほしいので、雪の山に入って行方をくらましてしまおうか。

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源氏物語 - 紫式部

来し方を思ひ出づるもはかなきを
行く末かけてなに頼むらむ

過ぎ去ったことを思い出してみても頼りないのに、行く末までかけて何を頼みにすればよいのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

行く末を短きものと思ひなば
目の前にだに背かざらなむ

行く末が短いものだと思うのなら、せめて目の前にいる間だけでも、私に背かないでほしい。

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源氏物語 - 紫式部

君にとてあまたの春を摘みしかば
常を忘れぬ初蕨なり

亡き宮様に差し上げようと幾年もの春ごとに摘んできたので、今年も例年どおりの初蕨である。

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源氏物語 - 紫式部

この春は誰れにか見せむ亡き人の
かたみに摘める峰の早蕨

今年の春は誰に見せればよいのだろう。亡き人の形見として摘んでくださった峰の早蕨を。

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源氏物語 - 紫式部

折る人の心にかよふ花なれや
色には出でず下に匂へる

折った人の心に通じている花なのだろうか。表の色には出さず、内に隠れて香っているのは。

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源氏物語 - 紫式部

見る人にかこと寄せける花の枝を
心してこそ折るべかりけれ

見る人が言いがかりをつけてくる花の枝は、気をつけて折るべきだった。

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