古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

はかなしや霞の衣裁ちしまに
花のひもとく折も来にけり

あっけないものだ。喪服を裁ったと思う間に、花が咲きほどける季節が来てしまった。

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源氏物語 - 紫式部

見る人もあらしにまよふ山里に
昔おぼゆる花の香ぞする

花を見る人もいなくなるだろう、嵐に吹き乱される山里に、昔を思い出させる花の香が漂っている。

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源氏物語 - 紫式部

袖ふれし梅は変はらぬ匂ひにて
根ごめ移ろふ宿やことなる

袖を触れた梅は変わらない香りなのに、根ごと移っていく宿の方が違ってしまうのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

さきに立つ涙の川に身を投げば
人におくれぬ命ならまし

何を言うより先に流れ出る涙の川に身を投げていたなら、あの人に後れずにすむ命だっただろう。

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源氏物語 - 紫式部

身を投げむ涙の川に沈みても
恋しき瀬々に忘れしもせじ

身を投げるという涙の川に沈んだとしても、恋しい人と過ごした折々を忘れることはあるまい。

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源氏物語 - 紫式部

人はみないそぎたつめる袖の浦に
一人藻塩を垂るる海人かな

誰もが急いで旅立とうと衣を裁っているところで、ただ一人涙に濡れている尼であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

塩垂るる海人の衣に異なれや
浮きたる波に濡るるわが袖

涙に濡れる尼の衣と何が違うだろう。頼りない行く先を思って濡れている私の袖も同じことだ。

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源氏物語 - 紫式部

ありふればうれしき瀬にも逢ひけるを
身を宇治川に投げてましかば

生き長らえていればうれしい折にも出会えたのに、もし宇治川に身を投げてしまっていたらどうなっていただろう。

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源氏物語 - 紫式部

過ぎにしが恋しきことも忘れねど
今日はたまづもゆく心かな

亡くなった方が恋しい気持ちは忘れないけれど、今日は何よりもまず心が晴れることだ。

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源氏物語 - 紫式部

眺むれば山より出でて行く月も
世に住みわびて山にこそ入れ

考えてみれば、山から出て空を渡っていく月も、この世に住みづらくなって山に帰っていくのだ。

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源氏物語 - 紫式部

しなてるや鳰の湖に漕ぐ舟の
まほならねどもあひ見しものを

琵琶湖に漕ぎ出す舟の帆のように、まともな形ではなかったが、あの人と逢い見たことはあったのに。

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源氏物語 - 紫式部

世の常の垣根に匂ふ花ならば
心のままに折りて見ましを

ありふれた家の垣根に咲いている花ならば、思うままに手折って眺めることもできるだろうに。

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源氏物語 - 紫式部

霜にあへず枯れにし園の菊なれど
残りの色はあせずもあるかな

霜に耐えられずに枯れてしまった園の菊だが、残された色はあせていないことだ。

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源氏物語 - 紫式部

今朝の間の色にや賞でむ置く露の
消えぬにかかる花と見る見る

今朝のわずかな間の色を賞美しようか。置いた露が消えないうちだけ咲いている花だと見ながら。

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源氏物語 - 紫式部

よそへてぞ見るべかりける白露の
契りかおきし朝顔の花

姉君に見立てて自分のものとして見るべきだった。白露が契りを結んで置いていった朝顔の花なのだから。

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源氏物語 - 紫式部

消えぬまに枯れぬる花のはかなさに
おくるる露はなほぞまされる

露が消えないうちに枯れてしまう花のはかなさよりも、後に残る露のほうがいっそう頼りない。

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