古典和歌stream

金槐和歌集 - 源実朝

春雨はいたくな降りそ旅人の
道行き衣濡れもこそすれ

春雨よ、ひどく降らないでくれ。旅人の道中の衣が濡れてしまうと困るから。

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金槐和歌集 - 源実朝

旅を行きし跡の宿守おれおれに
私あれや今朝はいまだ来ぬ

旅に出ていた間の留守居の者たちは、それぞれに私事でもあるのだろうか、今朝はまだやって来ない。

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金槐和歌集 - 源実朝

夜を寒み独り寝覚めの床冴えて
わが衣手に露ぞ置きける

夜が寒いので、ひとり目覚めた寝床は冷えきって、私の袖には露が置いていたことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

かかる折もありけるものを手枕の
隙漏る風を何厭ひけむ

このように離ればなれになる時もあったのに、腕を枕に共寝していた頃、すき間から漏れてくる風をどうして嫌がったのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

都辺に夢にも行かむ便りあらば
うつの山風吹きも伝へよ

都のあたりへ、せめて夢の中でも行きたい。その便りがあるならば、宇津の山を吹く風よ、私の思いを吹き伝えておくれ。

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金槐和歌集 - 源実朝

都より吹き来む風の君ならば
忘るなとだに言はましものを

都から吹いてくる風があなたであるならば、せめて忘れないでとだけでも言うのだけれど。

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金槐和歌集 - 源実朝

うつたへに思ふばかりは言はねども
便りにつけて尋ねぬばかりぞ

ひたすらに思っているほどのことは言わないけれども、便りにかこつけて安否を尋ねただけのことである。

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金槐和歌集 - 源実朝

岩根踏み幾重の峰を越えぬとも
思ひも出でば心隔つな

岩の根を踏み、幾重の峰を越えて遠く離れてしまっても、思い出してくれるならば、心まで隔てないでほしい。

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金槐和歌集 - 源実朝

立ち別れいなばの山の時鳥
まつと告げこせ帰り来るがに

別れて去ってゆく因幡の山の時鳥よ、私が待っていると告げておくれ。あの人が帰ってくるように。

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金槐和歌集 - 源実朝

山遠み雲居に雁の越えていなば
我のみひとりねにや鳴きなむ

山が遠いので、空の彼方へ雁が越えて行ってしまったならば、私ひとりだけが取り残されて、独り寝をしながら声を上げて泣くのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

来むとしも頼めぬうはの空にだに
秋風吹けば雁は来にけり

来るとも約束していない上空にさえ、秋風が吹けば雁はやって来たことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

今来むと頼めし人は見えなくに
秋風寒み雁は来にけり

すぐに来ると約束してあてにさせた人は姿を見せないのに、秋風が寒いので雁はやって来たことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

沖つ波八十島かけて住む千鳥
心ひとつといかが頼まむ

沖の波の立つ多くの島々をかけて住む千鳥のようなあなたを、心は一つだと、どうして頼みにできようか。

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金槐和歌集 - 源実朝

うはの空に見し面影を思ひ出でて
月に馴れにし秋ぞ恋しき

空に見た月の面影を思い出して、あなたとともに月に親しんだ秋が恋しい。

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金槐和歌集 - 源実朝

思ひ出でよ見し世はよそになりぬとも
ありし名残の有明の月

思い出してほしい。ともに過ごした日々は遠いものになってしまったとしても、あの時の名残の有明の月を。

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金槐和歌集 - 源実朝

結ひ初めて馴れしたぶさの濃紫
思はず今も浅かりきとは

初めて結い上げてから馴れ親しんだ髻の濃い紫の紐のように、私たちの縁が浅かったとは、今も思わない。

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