- 表題
- -
- 古今和歌集
古今和歌集 - 藤原敏行
つれづれのながめにまさる涙川
袖のみ濡れて逢ふよしもなし
することもなく物思いにふけっていると、長雨で水かさが増すように涙の川が増していく。袖ばかりが濡れて、あなたに逢う手立てもない。
古今和歌集 - よみ人しらず
寄るべなみ身をこそ遠く隔てつれ
心は君が影となりにき
身を寄せる手立てがないので、体こそ遠く隔ててしまったが、心はあなたの影のように、あなたに寄り添うものとなってしまった。
古今和歌集 - よみ人しらず
逢はぬ夜のふる白雪と積もりなば
我さへともに消ぬべきものを
逢えない夜が、降る白雪のように積もり重なっていったなら、雪が消えるように、私までも一緒に消えてしまうに違いないのに。
古今和歌集 - 小野小町
みるめなき我が身をうらと知らねばや
かれなで海人の足たゆく来る
海松布の生えない浦のように、逢う機会などない私だと知らないからだろうか、あの漁師は離れもせず、足がだるくなるほど通ってくる。
古今和歌集 - 御春有助
あやなくてまだきなき名のたつた川
渡らでやまむものならなくに
わけもなく、早くも根も葉もない噂が立ってしまった。竜田川を渡らずに終わるわけでもないのに、まだ渡ってもいないうちから。
古今和歌集 - よみ人しらず
懲りずまにまたもなき名は立ちぬべし
人憎からぬ世にし住まへば
懲りもせず、またしても根も葉もない噂が立ってしまうだろう。人を憎からず思ってしまう、この世に住んでいるのだから。