古典和歌stream

山家集 - 西行

春の霞家立ち出でて行きにけん
雉立つ野を焼きてけるかな

春の霞が立つように、雉は住みかを立ち出て行ってしまったのだろう。雉の飛び立つ野を焼いてしまったことだなあ。

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山家集 - 西行

片岡に柴移りして鳴く雉
立つ羽音とて高からぬかは

片岡で柴から柴へと移りながら鳴く雉よ。その声ばかりか、飛び立つ羽音だからといって高くないことがあろうか。

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山家集 - 西行

香をとめん人にこそ待て山里の
垣根の梅の散らぬ限りは

梅の香を尋ねて来る人をこそ待っていよう。山里の垣根の梅が散らないうちは。

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山家集 - 西行

心せん賤が垣根の梅はあやな
よしなく過ぐる人とどめけり

気をつけなければならない。身分の低い者の家の垣根の梅は、わけもなく、ただ通り過ぎるだけの人まで引き止めてしまったことだ。

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山家集 - 西行

この春は賤が垣根に触ればひて
梅が香とめん人親しまん

この春は、粗末な家の垣根に寄り添うようにして、梅の香を尋ねて来る人と親しくしよう。

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山家集 - 西行

主いかに風渡るとていとふらん
よそにうれしき梅の匂ひを

梅の持ち主は、風が吹き渡るからといって、どれほど嫌がっていることだろう。よそにいる私にとってはうれしい梅の匂いであるのに。

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山家集 - 西行

梅が香を谷ふところに吹きためて
入り来ん人にしめよ春風

梅の香を谷の奥まったところに吹き集めておいて、ここへ入って来る人にしみこませておくれ、春風よ。

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山家集 - 西行

柴の庵にとくとく梅の匂ひ来て
やさしき方もある住みかかな

柴の庵に早くも梅の香が匂ってきて、粗末ながら優美な趣もある住まいであることよ。

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山家集 - 西行

梅が香にたぐへて聞けば鶯の
声なつかしき春の山里

梅の香に添えて聞くと、鶯の声がいっそう心ひかれる、春の山里であることよ。

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山家集 - 西行

作りおきし苔の衾に鶯は
身にしむ梅の香や匂ふらん

作っておいた苔の夜具のような巣で、鶯は身にしみるほどの梅の香に包まれているのだろうか。

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山家集 - 西行

ひとり寝る草の枕の移り香は
垣根の梅の匂ひなりけり

ひとりで寝る旅の枕に移り残った香りは、垣根に咲く梅の匂いであったのだ。

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山家集 - 西行

なにとなく軒なつかしき梅ゆゑに
住みけん人の心をぞ知る

なんとなく軒先が慕わしく感じられる梅のために、かつてここに住んでいた人の心がわかることだ。

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山家集 - 西行

春雨の軒たれこむるつれづれに
人に知られぬ人の住みかか

春雨が軒から垂れ落ち、簾を垂れて家にこもっているこのつれづれの中で思えば、ここは人に知られずに暮らす人の住みかなのだなあ。

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山家集 - 西行

なにとなくおぼつかなきは天の原
霞に消えて帰る雁がね

なんとなく気がかりなのは、大空の霞の中に消えて、北へ帰っていく雁である。

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山家集 - 西行

雁がねは帰る道にや迷ふらん
越の中山霞隔てて

雁は帰る道に迷っているのだろうか。越の中山を霞が隔てていて。

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山家集 - 西行

玉章の端書きかとも見ゆるかな
飛び遅れつつ帰る雁がね

手紙の端に書き添えた文字かとも見えることだ。列から飛び遅れながら帰っていく雁は。

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