古典和歌stream

山家集 - 西行

山里へ誰をまたこはよぶこ鳥
ひとりのみこそ住まんと思ふに

この山里へ、いったい誰をまた来いと呼ぶのか、呼子鳥よ。私はひとりきりで住もうと思っているのに。

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山家集 - 西行

苗代の水を霞はたなびきて
打樋の上にかくるなりけり

苗代の水の上に霞はたなびいて、水を引く打樋の上にもかかっているのだなあ。

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山家集 - 西行

雲なくておぼろなりとも見ゆるかな
霞かかれる春の夜の月

雲がないのに、おぼろに見えることだ。霞のかかっている春の夜の月は。

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山家集 - 西行

山賤の片岡かけて占むる庵の
境に見ゆる玉の緒柳

山に住む人が片岡にかけて自分のものとして構えている庵の、その境のしるしに見える、玉を貫く緒のような細い枝の柳よ。

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山家集 - 西行

なかなかに風の干すにぞ乱れける
雨に濡れたる青柳の糸

かえって風が干そうとするために乱れてしまったことだ。雨に濡れた青柳の糸のような枝は。

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山家集 - 西行

見渡せば佐保の河原にくりかけて
風に縒らるる青柳の糸

見渡すと、佐保の河原いっぱいに繰りかけたように、風に縒られている青柳の糸よ。

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山家集 - 西行

水底に深き緑の色見えて
風になみよる川柳かな

水底に深い緑の色が映って見えて、風に吹かれて、波が寄せるようにそろってなびき寄る川柳であることよ。

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山家集 - 西行

待つにより散らぬ心を山桜
咲きなば花の思ひ知らなん

花を待つことによって、ほかのことに散ることのない私の心を、山桜よ、咲いたならば花のほうでも思い知ってほしい。

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山家集 - 西行

誰かまた花を尋ねて吉野山
苔踏み分くる岩伝ふらん

私のほかに誰がまた、花を尋ねて吉野山の苔を踏み分けながら、岩づたいに歩いているだろうか。

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山家集 - 西行

今さらに春を忘るる花もあらじ
安く待ちつつ今日も暮らさん

今になって春を忘れてしまう花もあるまい。心安らかに待ちながら、今日も一日を過ごそう。

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山家集 - 西行

おぼつかないづれの山の峰よりか
待たるる花の咲きはじむらん

気がかりなことだ。どの山の峰から、待たれている花は咲きはじめるのだろう。

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山家集 - 西行

空に出でていづくともなく尋ぬれば
雲とは花の見ゆるなりけり

上の空のまま家を出て、どこというあてもなく尋ね歩くと、雲と見えていたのは、実は花が雲のように見えていたのであった。

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山家集 - 西行

雪閉ぢし谷の古巣を思ひ出でて
花にむつるる鶯の声

雪に閉ざされていた谷の古巣を思い出して、今は花に親しみまつわっている鶯の声よ。

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山家集 - 西行

吉野山雲をはかりに尋ね入りて
心にかけし花を見るかな

吉野山の、雲を目当てにして奥深く尋ね入って、ずっと心にかけていた花を見ることだ。

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山家集 - 西行

思ひやる心や花に行かざらん
霞こめたるみ吉野の山

遠くから思いを馳せる私の心は、花のもとまで行き着かないのだろうか。霞がすっかり包みこんでいるみ吉野の山では。

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山家集 - 西行

おしなべて花の盛りになりにけり
山の端ごとにかかる白雲

どこもみな一様に花の盛りになったことだ。山の稜線ごとにかかっている白雲(のような桜)よ。

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