- 表題
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- 古今和歌集
古今和歌集 - 平貞文
白川の知らずとも言はじ底清み
流れて世々にすまむと思へば
白川の名のように、知らないとは言うまい。白川の底が清いので、流れていつまでも澄むように、末長くあなたと共に住もうと思っているのだから。
古今和歌集 - 紀友則
下にのみ恋ふれば苦し玉の緒の
絶えて乱れむ人なとがめそ
心の内でばかり恋い慕っていると苦しい。玉を貫いた紐が切れて玉が散り乱れるように、私が耐えきれずに思い乱れても、人よ、咎めないでくれ。
古今和歌集 - よみ人しらず
おほかたは我が名もみなと漕ぎ出でなむ
世をうみべたにみるめ少なし
いっそのこと、私の評判も皆に知られるように、港から舟を漕ぎ出してしまおう。世の中をつらいと思って、海辺にいても、海松布が少ないように、逢う機会は少ないのだから。
古今和歌集 - よみ人しらず
池に住む名ををし鳥の水を浅み
隠るとすれどあらはれにけり
池に住むおしどりが、水が浅いので隠れようとしても姿が見えてしまうように、評判を惜しんで隠そうとしたけれど、恋は人に知られてしまった。
古今和歌集 - よみ人しらず
群鳥の立ちにし我が名今さらに
ことなしぶともしるしあらめや
群れた鳥が一斉に飛び立つように、すっかり立ってしまった私の評判は、今さら何事もなかったふりをしても、効き目などあるだろうか。
古今和歌集 - よみ人しらず
陸奥の安積の沼の花かつみ
かつ見る人に恋ひやわたらむ
陸奥の安積の沼に咲く花かつみの「かつ」ではないが、こうして逢っていながら、私はなおその人を恋しく思い続けるのだろうか。
古今和歌集 - よみ人しらず
逢ひ見ずは恋しきこともなからまし
音にぞ人を聞くべかりける
逢って契りを結ぶことがなかったなら、これほど恋しいこともなかっただろう。あの人のことは噂に聞くだけにしておくべきだった。
古今和歌集 - 紀貫之
石上布留の中道なかなかに
見ずは恋しと思はましやは
石上の布留の中道の「なか」ではないが、なまじっか逢ったりしなかったなら、これほど恋しいと思っただろうか、いや思わなかっただろう。
古今和歌集 - 藤原忠行
君てへば見まれ見ずまれ富士の嶺の
めづらしげなく燃ゆる我が恋
あなたのことと言えば、逢っていても逢っていなくても、富士の嶺が絶えず煙を上げるように、今さら珍しげもなく、いつも燃えている私の恋であることよ。