古典和歌stream

山家集 - 西行

などか我ことのほかなる嘆きせで
みさをなる身に生まれざりけん

どうして私は、人並み外れた嘆きなどすることもなく、平然としていられる身に生まれてこなかったのだろう。

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山家集 - 西行

汲みて知る人もあらなんおのづから
ほりかねの井の底の心を

自然と汲みとって知ってくれる人がいてほしい。掘りかねるほど深い堀兼の井の底のような、私の心の奥底を。

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山家集 - 西行

煙立つ富士におもひのあらそひて
よだけき恋をするがへぞ行く

煙の立ちのぼる富士の火と、私の思いの火とが競い合って、激しい恋をする身で、駿河の国へと行くことだ。

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山家集 - 西行

涙川逆巻くみをの底深み
みなぎりあへぬ我が心かな

涙の川が逆巻いて流れる水脈の底が深いので、水がみなぎりあふれきることもない、私の心であることよ。

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山家集 - 西行

磯の間に波荒げなる折々は
うらみをかづく里の海人

磯の間に波が荒々しく立つ折々には、浦に潜ることもできず、恨みを身にかぶる、里の海人であることよ。

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山家集 - 西行

瀬戸口にたける潮の大淀み
淀む年日もなき涙かな

瀬戸の口で猛り立つ潮にも大きく淀む時があるが、私の涙は淀む年も日もなく流れ続けることだ。

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山家集 - 西行

東路やあひの中山ほど狭み
心の奥の見えばこそあらめ

東国へ向かう道のあいの中山は道幅が狭いので、人は近く寄り合うけれども、たとえ近く逢っても、心の奥まで見えるのならばよいのだが、見えはしない。

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山家集 - 西行

いつとなくおもひに燃ゆる我が身かな
浅間の煙しめる世もなく

いつと定まることもなく、思いの火に燃え続けるわが身であることよ。浅間山の煙が湿って消える時もないように。

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山家集 - 西行

播磨路や心の須磨に関すゑて
いかで我が身の恋をとどめん

播磨へ向かう道の須磨に関所があるように、心の須磨に関所を据えて、なんとかしてわが身の恋をとどめたいものだ。

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山家集 - 西行

あはれてふ情けに恋の慰まば
問ふ言の葉や嬉しからまし

「あわれだ」という情けによって恋の苦しみが慰められるものならば、見舞ってくれる言葉も嬉しく思えるだろうに。

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山家集 - 西行

物思へばまだ夕暮れのままなるに
明けぬと告ぐるしば鳥の声

物思いにふけっていると、まだ夕暮れのままのような心地でいるのに、もう夜が明けたと告げる鳥の声が聞こえる。

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山家集 - 西行

夢をなど夜ごろ頼まで過ぎ来けん
さらで逢ふべき君ならなくに

どうして夢での逢瀬を、幾夜も頼みにしないで過ごしてきたのだろう。夢でなくては逢うことのできるあなたではないのに。

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山家集 - 西行

さはと言ひて衣返してうち臥せど
目の合はばやは夢も見るべき

それならばと言って、衣を裏返して横になるけれども、目が合わさって眠れるのならばともかく、眠れなければどうして夢も見られようか。

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山家集 - 西行

恋ひらるる憂き名を人に立てじとて
忍ぶわりなき我が袂かな

私に恋い慕われているというつらい噂をあの人に立てまいとして、涙を忍び隠すのがどうにもならない私の袂であることよ。

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山家集 - 西行

夏草の繁りのみゆく思ひかな
待たるるあきのあはれ知られて

夏草が茂ってゆくように、ただ募るばかりの思いであることよ。待たれる秋のあわれ、あの人に飽きられてゆくつらさが思い知られて。

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山家集 - 西行

紅の色に袂のしぐれつつ
袖にあきある心地こそすれ

紅の涙の色に、袂が時雨に濡れるように濡れ続けて、袖にだけ秋が、あの人の飽きが来ている心地がする。

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