古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

心をば嘆かざらまし命のみ
定めなき世と思はましかば

あなたの心を嘆いたりはしないだろう。定めがないのは命だけの世だと思うことができたなら。

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源氏物語 - 紫式部

世に知らず惑ふべきかな先に立つ
涙も道をかきくらしつつ

これまでにないほど道に迷ってしまいそうだ。先に流れ出る涙が、行く道までも暗くしてしまって。

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源氏物語 - 紫式部

涙をもほどなき袖にせきかねて
いかに別れをとどむべき身ぞ

涙さえも狭い袖ではせき止めきれないのに、どうして別れを引き止められる身であろうか。

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源氏物語 - 紫式部

宇治橋の長き契りは朽ちせじを
危ぶむ方に心騒ぐな

宇治橋のように末長い約束は朽ちはしないのだから、危ういほうにばかり心を騒がせるな。

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源氏物語 - 紫式部

絶え間のみ世には危ふき宇治橋を
朽ちせぬものとなほ頼めとや

途切れてばかりで世に危ういと言われる宇治橋なのに、朽ちないものだとやはり頼りにせよとおっしゃるのか。

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源氏物語 - 紫式部

年経とも変はらむものか橘の
小島の崎に契る心は

年を経ても変わるものだろうか。橘の小島の崎で誓うこの心は。

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源氏物語 - 紫式部

橘の小島の色は変はらじを
この浮舟ぞ行方知られぬ

橘の小島の色は変わらないだろうけれど、水に浮かぶ舟のようなこの身は、行方も知れない。

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源氏物語 - 紫式部

峰の雪みぎはの氷踏み分けて
君にぞ惑ふ道は惑はず

峰の雪も水際の氷も踏み分けて来た。道には迷わないが、あなたには心を惑わせている。

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源氏物語 - 紫式部

降り乱れみぎはに凍る雪よりも
中空にてぞ我は消ぬべき

降り乱れて水際に凍る雪よりも、私は空の途中で消えてしまいそうだ。

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源氏物語 - 紫式部

眺めやるそなたの雲も見えぬまで
空さへ暮るるころのわびしさ

眺めやるそちらの方角の雲さえ見えないほど、空までも暗くなるこのころの心細さよ。

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源氏物語 - 紫式部

水まさる遠方の里人いかならむ
晴れぬ長雨にかき暮らすころ

水かさの増す遠くの里に住む人はどうしているだろう。晴れることのない長雨に、暗く過ごしているこのごろは。

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源氏物語 - 紫式部

里の名をわが身に知れば山城の
宇治のわたりぞいとど住み憂き

里の名を我が身に引き当てて思えば、山城の宇治のあたりは、いっそう住むのがつらい所だ。

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源氏物語 - 紫式部

かき暮らし晴れせぬ峰の雨雲に
浮きて世をふる身をもなさばや

空を暗くして晴れることのない峰の雨雲に、浮いたまま世を過ごすこの身を、いっそ変えてしまいたい。

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源氏物語 - 紫式部

つれづれと身を知る雨の小止まねば
袖さへいとどみかさまさりて

所在なく、我が身のつらさを知らせる雨が降りやまないので、袖までもいっそう水かさが増している。

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源氏物語 - 紫式部

波越ゆるころとも知らず末の松
待つらむとのみ思ひけるかな

波が越えるころだとも知らずに、末の松山のようにあなたが待っていてくれるとばかり思っていたことだ。

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源氏物語 - 紫式部

いづくにか身をば捨てむと白雲の
かからぬ山も泣く泣くぞ行く

どこに我が身を捨てようかと思いながら、白雲のかからない山でも、泣く泣く越えて行くことだ。

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