古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

嘆きわび身をば捨つとも亡き影に
憂き名流さむことをこそ思へ

嘆きに堪えかねて身を捨てるとしても、亡きあとの魂につらい評判を流すことになるのが気にかかる。

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源氏物語 - 紫式部

からをだに憂き世の中にとどめずは
いづこをはかと君も恨みむ

亡骸さえもこのつらい世にとどめずにいたなら、どこを墓としてよいかと、母上も恨むことだろう。

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源氏物語 - 紫式部

後にまたあひ見むことを思はなむ
この世の夢に心惑はで

後の世でまた会えることを思っていてほしい。この世の夢のようなことに心を惑わせないで。

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源氏物語 - 紫式部

鐘の音の絶ゆる響きに音を添へて
わが世尽きぬと君に伝へよ

鐘の音の消えていく響きに私の泣く声を添えて、私の一生は終わったと母上に伝えてほしい。

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源氏物語 - 紫式部

忍び音や君も泣くらむかひもなき
死出の田長に心通はば

忍び音をもらしてあなたも泣いているのだろうか。かいもなく鳴く死出の田長に、心が通っているのなら。

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源氏物語 - 紫式部

橘の薫るあたりはほととぎす
心してこそ鳴くべかりけれ

橘の薫るあたりでは、時鳥は気をつけて鳴くべきであった。

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源氏物語 - 紫式部

我もまた憂き古里を荒れはてば
誰れ宿り木の蔭をしのばむ

自分もまた、このつらい古里が荒れ果ててしまったら、誰が宿り木の蔭を偲んでくれるだろう。

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源氏物語 - 紫式部

あはれ知る心は人におくれねど
数ならぬ身に消えつつぞ経る

しみじみと感じ取る心は人に劣らないけれど、物の数でもない身であるから、消え入るような思いで日を過ごしている。

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源氏物語 - 紫式部

常なしとここら世を見る憂き身だに
人の知るまで嘆きやはする

世は無常だとこれほど見てきたつらい身でさえ、人に知られるほどには嘆いたりしない。

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源氏物語 - 紫式部

荻の葉に露吹き結ぶ秋風も
夕べぞわきて身にはしみける

荻の葉に露を吹き結ばせる秋風も、夕暮れにはとりわけ身にしみることだ。

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源氏物語 - 紫式部

女郎花乱るる野辺に混じるとも
露のあだ名を我にかけめや

女郎花の咲き乱れる野辺に混じったとしても、露に濡れたという浮ついた評判を、私が身に負うことがあろうか。

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源氏物語 - 紫式部

花といへば名こそあだなれ女郎花
なべての露に乱れやはする

花といえばその名こそ浮ついて聞こえるけれど、女郎花はありふれた露に乱れたりはしない。

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源氏物語 - 紫式部

旅寝してなほこころみよ女郎花
盛りの色に移り移らず

旅寝をして、なお試してごらんなさい。女郎花が盛りの色を移すか移さないかを。

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源氏物語 - 紫式部

宿貸さば一夜は寝なむおほかたの
花に移らぬ心なりとも

宿を貸してくれるなら一夜くらいは泊まろう。ありふれた花に心を移すことはないとしても。

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源氏物語 - 紫式部

ありと見て手にはとられず見ればまた
行方も知らず消えし蜻蛉

確かにいると見えたのに手には取れず、見ればまた行方も知れず消えてしまった蜻蛉であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

身を投げし涙の川の早き瀬を
しがらみかけて誰れか止めし

身を投げた涙の川の早い瀬に、柵をかけて誰が私を引き止めたのだろう。

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