万葉集 - 志貴皇子
葦の生える水辺を泳いで行く鴨の、たたんだ翼の上に霜が降りて、寒さの身にしみる夕べには、故郷の大和が思い出される。
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万葉集 - 長皇子
霰が打つという名の安良礼の松原は、住吉の弟日娘女とともに見ると、いくら見ても見飽きないことだ。
万葉集 - 置始東人
大伴の高師の浜の松の根を枕にして寝るけれど、家のことがしのばれてならない。
万葉集 - 高安大嶋
旅にあって何となく家が恋しいのに、せめて鶴の鳴く声も聞こえなかったならば、恋しさのあまり死んでしまうだろう。
万葉集 - 身人部王
大伴の御津の浜にある忘れ貝の名のように、家にいる妻のことを忘れたりするだろうか、いや決して忘れはしない。
万葉集 - 清江娘子
旅立って行かれるあなただと知っていたならば、岸の赤い土で衣を染めてさしあげればよかったのに。
万葉集 - 高市黒人
大和にはもう鳴いて行き着いただろうか、あの呼子鳥は。象の中山を呼びながら越えて行くようだ。
万葉集 - 忍坂部乙麻呂
大和が恋しくて眠ることもできないのに、思いやりもなく、この洲崎のあたりで鶴が鳴いてよいものだろうか。
万葉集 - 藤原宇合
美しい藻を刈る沖の方へは漕ぎ出すまい。共寝した枕のあたりが忘れられないのだから。
いとしい妻に早く会いたいと思わせる、速く吹く浜風よ。大和で私を待っている松や椿に、決して吹き忘れることのないように。
万葉集 - 文武天皇(一説)
吉野の山から吹きおろす嵐が寒いのに、今夜もまた私はひとりで寝るのだろうか。
万葉集 - 長屋王
宇治間山の朝の風は寒い。旅の途中で、衣を貸してくれるはずの妻もそばにいないのに。
万葉集 - 元明天皇
勇ましい男たちの鞆の音が聞こえてくる。物部の大臣が儀式の盾を立てているらしい。
万葉集 - 御名部皇女
わが大君よ、ご心配なさるな。皇祖の神が大君に続いてこの世に授けられた私が、いないわけではないのだから。
万葉集 - 元明天皇(一説に持統天皇)
明日香の里を後にして去ってしまったら、あなたのいるあたりは見えなくなってしまうのだろうか。
万葉集
奈良の新しい家には、いつまでも私も通って来よう。忘れてしまうなどと思わないでほしい。