万葉集 - 石川郎女
信濃の真弓を引いてもみないで、弦をかけるわざを知っているとは誰も言わないものなのに。
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梓弓を引けば寄ってくるように、あなたが引くならそのままに寄りもしようが、この先のあなたの心が分からないことだ。
万葉集 - 久米禅師
梓弓に弦をしっかりかけて引く人は、後々の心まで知っている人だからこそ引くのだ。
東国の人が献上する初物の箱の荷をしばる緒のように、あなたはしっかりと私の心に乗ってしまったことだ。
万葉集 - 大伴安麻呂
実のならない木には恐ろしい神がとりつくというぞ。実のならない木にはどれにでも。
万葉集 - 巨勢郎女
花ばかり咲いて実がならないというのは、いったい誰の恋のことだろうか。私はこんなに恋い慕っているのに。
万葉集 - 天武天皇
私の里には大雪が降ったぞ。あなたのいる大原の古びた里に降るのは、もっと後のことだろう。
万葉集 - 藤原五百重娘
私の岡の竜神に言いつけて降らせた雪のかけらが、そちらに散ったのだろう。
万葉集 - 大伯皇女
いとしい弟を大和へ帰し送ろうとして、夜が更けて明け方の露に、私は立ったまま濡れたことだ。
二人で行っても越えにくい秋の山を、どのようにしてあなたは今ひとりで越えているのだろうか。
万葉集 - 大津皇子
山のしずくに、あなたを待つとて私は立ったまま濡れてしまった。山のしずくに。
私を待ってあなたが濡れたという、その山のしずくになれたらよかったのに。
津守の占いに現れて明かされるだろうとは、はっきりと知ったうえで、私たち二人は寝たのだ。
万葉集 - 草壁皇子
大名児よ、遠くの野辺で刈る萱をひと握りに束ねる、その束ほどの短い間でも、私があなたを忘れることがあろうか。
万葉集 - 弓削皇子
昔を恋い慕う鳥なのだろうか。ゆずりはの茂る御井の上を、鳴きながら渡って行く。
万葉集 - 額田王
昔を恋い慕っているというその鳥は、ほととぎすだろう。おそらく鳴いたのだろう、私が昔を思っているように。