古典和歌stream

山家集 - 西行

つづら這ふ端山は下も茂ければ
住む人いかに木暗かるらん

つづらの這う端山は木の下まで茂っているので、そこに住む人はどれほど木の陰で暗いことだろう。

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山家集 - 西行

熊の住む苔の岩山恐ろしみ
むべなりけりな人も通はぬ

熊の住む苔むした岩山は恐ろしいので、なるほど人も通わないわけである。

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山家集 - 西行

音はせて岩にたばしる霰こそ
蓬の窓の友となりけれ

音を立てて岩に飛び散る霰こそが、蓬の生い茂る窓の友となったことだ。

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山家集 - 西行

あはれにぞ物めかしくは聞こえける
枯れたる楢の柴の落ち葉は

しみじみと、まるで何かが訪れたかのように聞こえたことだ。枯れた楢の小枝の落ち葉の音は。

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山家集 - 西行

柴囲ふ庵のうちは旅立ちて
すどほる風もとまらざりけり

柴で囲った庵のなかは、主が旅立って留守なので、素通りしてゆく風さえも、とどまらないことだ。

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山家集 - 西行

谷風は戸を吹き開けて入るものを
何と嵐の窓叩くらん

谷風は戸を吹き開けて入ってくるものなのに、どうして嵐はわざわざ窓を叩くのだろう。

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山家集 - 西行

春浅き篠の籬に風冴えて
まだ雪消えぬ信楽の里

春もまだ浅く、篠竹の垣根に吹く風は冷え冷えとして、まだ雪の消えない信楽の里であることよ。

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山家集 - 西行

水脈淀む天の川岸波立たで
月をば見るやさへさみの神

水の流れの淀む天の川の岸に波も立たないで、月を眺めているのだろうか、さへさみの神は。

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山家集 - 西行

光をば曇らぬ月ぞ磨きける
稲葉にかかる朝日子の玉

その光は、曇りのない月が磨いたのであった。稲の葉にかかって朝日に輝く露の玉は。

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山家集 - 西行

磐余野の萩が絶え間のひまひまに
児手柏の花咲きにけり

磐余野の萩の茂みが途切れたあちこちの隙間に、児手柏の花が咲いたことだ。

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山家集 - 西行

衣手に移りし花の色かれて
袖ほころぶる萩が花摺り

袖に移った萩の花の色もあせて、その袖もほころびてしまった萩の花摺りの衣であることよ。

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山家集 - 西行

小笹原葉末の露は玉に似て
石なき山を行く心地する

小笹の原の葉先の露は玉に似ていて、石ではなく玉ばかりの山を行くような心地がする。

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山家集 - 西行

真木割る飛騨の工や出でぬらん
村雨過ぐるかさとりの山

真木を割る飛騨の工匠が仕事に出てきたのであろうか。村雨が通り過ぎて、笠を取る笠取山であることよ。

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山家集 - 西行

川合ひや真木の裾山石立てて
杣人いかに涼しかるらん

川の合流する所よ、真木の茂る麓の山に石が立ち並んで、そこで働く杣人はどれほど涼しいことだろう。

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山家集 - 西行

雪解くるしみみにしだくかささきの
道行きにくき足柄の山

雪が解けて、しきりに踏み荒らされたかささきの道が、行きにくい足柄の山であることよ。

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山家集 - 西行

根渡しにしるしの竿や立てつらん
こひき待ちつる越の中山

雪の上を渡るための目じるしの竿を立てたのであろうか。待ちかねていた越の中山では。

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