古典和歌stream

山家集 - 西行

雲取や志古の山路はさておきて
小口が原のさびしからぬか

雲取山や志古の山路の寂しさはさておいて、小口の原こそ、寂しくないことがあろうか。

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山家集 - 西行

麓行く舟人いかに寒からん
熊山岳を下ろす嵐に

山の麓を舟で行く人は、どれほど寒いことだろう。熊山岳から吹きおろす嵐に。

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山家集 - 西行

折りかくる波の立つかと見ゆるかな
さすがに来ゐる鷺の群鳥

折り返し寄せる白波が立っているのかと見えることだ。実は、やって来て止まっている鷺の群れであった。

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山家集 - 西行

わづらはで月には夜も通ひけり
隣へ伝ふ畔の細道

月の明るい夜には、苦労することもなく夜でも行き来したことだ。隣家へと続く田の畔の細道を。

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山家集 - 西行

荒れにける沢田の畔に苦参生ひて
秋待つべくもなきわたりかな

荒れてしまった沢田の畔に苦参が生い茂って、実りの秋を待つこともできそうにない辺りであることよ。

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山家集 - 西行

伝ひくる打樋を絶えず任すれば
山田は水も思はざりけり

伝わって流れてくる樋の水を絶えず引き入れるので、山田では水の心配もしないことだ。

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山家集 - 西行

身にしみし荻の音には変はれども
しぶく風こそげには物憂き

身にしみた秋の荻の音とは変わったけれども、雨まじりに吹きしぶく風こそ、本当にもの憂いことだ。

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山家集 - 西行

小芹摘む沢の氷のひま絶えて
春めき初むる桜井の里

小芹を摘む沢の氷もすっかり解けてなくなり、春らしくなりはじめた桜井の里であることよ。

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山家集 - 西行

来る春は峰に霞を先立てて
谷の筧を伝ふなりけり

やって来る春は、峰に霞を先立たせて、谷の筧の水を伝わって来るのであった。

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山家集 - 西行

春になる桜の枝は何となく
花なけれども睦ましきかな

春になった桜の枝は、何ということもなく、まだ花はないけれども親しく慕わしいことだ。

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山家集 - 西行

空渡る雲なりけりな吉野山
花もて渡る風と見たれば

空を渡ってゆく雲であったのだな。吉野山では、花を運んで渡ってゆく風かと見ていたのに。

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山家集 - 西行

さらにまた霞に暮るる山路かな
春を尋ぬる花の曙

さらにまた霞に暮れてゆく山路であることよ。春の花を尋ねて出てきた花の曙なのに。

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山家集 - 西行

雲もかかれ花とを春は見て過ぎん
いづれの山もあだに思はで

雲がかかってもよい。春はそれを花と見て過ぎてゆこう。どの山もおろそかには思わないで。

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山家集 - 西行

雲かかる山見は我も思ひ出に
花ゆゑ馴れし睦び忘れず

雲のかかる山を見ることは、私にとっても思い出であって、花のために馴れ親しんだその親しみを忘れない。

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山家集 - 西行

山深み霞こめたる柴の庵に
言問ふものは鶯の声

山が深いので霞が立ちこめている柴の庵に、訪れて声をかけてくれるものは、鶯の声だけである。

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山家集 - 西行

鶯は田舎の谷の巣なれども
だびたる音をば鳴かぬなりけり

鶯は田舎の谷に巣を作っているけれども、田舎びた声では鳴かないのであった。

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