古典和歌stream

山家集 - 西行

いたけもる海人見る時になりにけり
えぞかけ島を煙籠めたり

いたけもる海人を見る時節になったことだ。えぞかけ島を煙が立ちこめている。

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山家集 - 西行

もののふの馴らすすさみはおもだたし
あちそのしさり鴨の入れ首

武士が鍛錬する武芸の慰みは晴れがましいものだ。あちそのしさり、鴨の入れ首といった技も。

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山家集 - 西行

陸奥のおくゆかしくぞ思ほゆる
壺の碑外の浜風

陸奥の奥が、心ひかれて知りたく思われることだ。壺の碑や、外の浜を吹く風が。

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山家集 - 西行

朝帰るかりゐうなこのむら友は
原の岡山越えやしぬらん

朝に帰ってゆくかりゐうなこの群れの仲間たちは、原の岡山を越えてしまっただろうか。

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山家集 - 西行

すがる伏す木暗が下の葛巻を
吹き裏返す秋の初風

鹿が伏している木陰の暗がりの下の、巻きついた葛の葉を、吹いて裏返す秋の初風であることよ。

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山家集 - 西行

諸声にもりかきみかぞ聞こゆなる
言ひ合はせてや妻を恋ふらん

声をそろえて、もりかきみかが鳴いているのが聞こえる。示し合わせて妻を恋うているのであろうか。

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山家集 - 西行

菫咲く横野のつばな咲きぬれば
思ひ思ひに人通ふなり

菫の咲く横野に茅花が咲いたので、人々は思い思いに通ってくるようだ。

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山家集 - 西行

紅の色なりながら蓼の穂の
からしや人の目にも立てぬは

紅の色でありながら、蓼の穂のその辛さよ、人が目にもとめないのは、つらいことだ。

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山家集 - 西行

蓬生はさま異なりや庭の面に
烏扇のなぞ茂るらん

蓬の生い茂る荒れた庭は、ありさまが変わっていることだ。庭の面に、烏扇がどうして茂っているのだろう。

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山家集 - 西行

刈り残す水の真菰に隠ろへて
影持ち顔に鳴く蛙かな

刈り残した水辺の真菰に隠れて、陰をわがもののような顔をして鳴く蛙であることよ。

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山家集 - 西行

柳原川風吹かぬ影ならば
暑くや蝉の声にならまし

柳原よ、もし川風の吹かない木陰であったならば、蝉の声も暑苦しく聞こえたであろうか。

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山家集 - 西行

久木生ひて涼めとなれる影なれや
波打つ岸に風渡りつつ

久木が生えて、涼めとばかりに作られた木陰なのであろうか。波の打ち寄せる岸に風が吹き渡って。

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山家集 - 西行

月のため水錆すゑじと思ひしに
緑にも敷く池の浮草

月を映すために、水錆を浮かせまいと思っていたのに、緑一面に池を敷きつめてしまった浮草であることよ。

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山家集 - 西行

思ふこと御生の注連に引く鈴の
かなはずはよもならじとぞ思ふ

願いごとは、御阿礼の注連に引く鈴のように、かなわないならば、決して鈴も鳴るまいと思う。

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山家集 - 西行

み熊野の浜木綿生ふる浦さびて
人なみなみに年ぞ重なる

み熊野の浜木綿の生える浦は寂れて、人並みに、寄せる波のように年が重なってゆくことだ。

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山家集 - 西行

石上古き住みかへ分け入れば
鹿の浅茅に露のこぼるる

古い住まいへと分け入ってゆくと、鹿の伏す浅茅に置いた露がこぼれ落ちることだ。

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