古典和歌stream

山家集 - 西行

この世にて眺められねる月なれば
迷はん闇も照らさざらめや

この世で親しく眺めてきた月であるから、来世で迷うであろう闇も、照らさないことがあろうか、きっと照らしてくれるだろう。

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山家集 - 西行

秋風のことに身にしむ今宵かな
月さへ澄める庭のけしきに

秋風がとりわけ、琴の音とともに身にしみる今夜であることよ。月までが澄んで映っている庭の様子のために。

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山家集 - 西行

すむ人の心くまるる泉かな
昔をいかに思ひ出づらん

住む人の心が、くむように思いやられる、澄んだ泉であることよ。その人は昔をどのように思い出しているのだろうか。

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山家集 - 西行

今よりは昔語りは心せん
あやしきまでに袖しをれけり

これからは昔語りには気をつけよう。不思議なほどに、涙で袖がぐっしょりと濡れてしまったことだ。

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山家集 - 西行

なれ来にし都もうとくなり果てて
悲しさ添ふる秋の暮かな

長年慣れ親しんできた都も、すっかり疎遠になってしまって、悲しさがいっそう加わる秋の暮れであることよ。

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山家集 - 西行

君去なば月待つとても眺めやらん
東の方の夕暮の空

あなたが去ってしまったら、月の出を待つというときにも、東の方の夕暮れの空をはるかに眺めやることだろう。

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山家集 - 西行

大原やまだ炭竈もならはずと
言ひけん人を今あらせばや

大原ではまだ炭焼きの竈にも慣れていないと詠んだという人を、今ここにいさせたいものだ。

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山家集 - 西行

今だにもかかりと言ひし滝つ瀬の
その折までは昔なりけん

今でさえこのようであると詠まれた滝の流れの、その頃まではまだ昔の姿のままであったのだろう。

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山家集 - 西行

まぎれつる窓の嵐の声とめて
更くるを告ぐる水の音かな

まぎれて聞こえなかった窓の嵐の音がやんで、夜が更けたことを告げる水の音であることよ。

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山家集 - 西行

玉みがく露ぞ枕に散りかかる
夢驚かす竹の嵐に

玉を磨いたような露が枕に散りかかることだ。夢を覚ます竹を吹く嵐のために。

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山家集 - 西行

峰おろす松の嵐の音にまた
響きを添ふる入相の鐘

峰から吹き下ろす松の嵐の音に、さらに響きを添える夕暮れの入相の鐘であることよ。

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山家集 - 西行

夕されや檜原の峰を越え行けば
すごく聞こゆる山鳩の声

夕暮れ時よ。檜の茂る峰を越えて行くと、ぞっとするほど寂しく聞こえてくる山鳩の声よ。

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山家集 - 西行

波近き磯の松が根枕にて
うら悲しきは今宵のみかは

波の近い磯の松の根を枕にして、心悲しいのは今夜だけであろうか、いや、この旅の夜ごとそうなのだ。

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山家集 - 西行

住吉の松が根洗ふ波の音を
梢にかくる沖つ潮風

住吉の松の根を洗う波の音を、梢の上まで掛けて響かせる、沖から吹く潮風であることよ。

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山家集 - 寂然

隔て来しその年月もあるものを
名残多かる峰の秋霧

離れて過ごしてきたあの年月もあったというのに、この短い別れにこれほど名残の多い、峰にかかる秋霧であることよ。

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山家集 - 西行

慕はれし名残をこそは眺めつれ
たちかへりにし峰の秋霧

慕わしく思われたあなたの名残をこそ、じっと眺めていたのだ。あなたが帰っていったあとに立ちこめる、峰の秋霧として。

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