古典和歌stream

山家集 - 西行

山深み苔の筵の上にゐて
何心なく鳴く猿かな

山が深いので、苔の筵の上に座って、何の屈託もなく鳴いている猿であることよ。

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山家集 - 西行

山深み岩に垂るる水溜めん
かつがつ落つる橡拾ふほど

山が深いので、岩から滴り落ちる水を溜めておこう。ぽつりぽつりと落ちる橡の実を拾い集める間に。

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山家集 - 西行

山深み気近き鳥の音はせで
もの恐ろしき梟の声

山が深いので、親しみやすい鳥の声はせずに、なんとなく恐ろしげな梟の声ばかりが聞こえることよ。

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山家集 - 西行

山深み木暗き峰の梢より
ものものしくも渡る嵐か

山が深いので、木々の茂って暗い峰の梢から、ものものしく吹き渡ってゆく嵐であることよ。

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山家集 - 西行

山深みほだ伐るなりと聞こえつつ
所にぎはふ斧の音かな

山が深いので、薪を伐っているらしいと聞こえてきて、あたりをにぎわわせている斧の音であることよ。

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山家集 - 西行

山深み入りて見と見るものはみな
あはれもよほすけしきなるかな

山が深いので、分け入って目にするものはすべて、しみじみとした哀れを誘う景色であることよ。

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山家集 - 西行

山深み馴るる鹿の気近さに
世に遠ざかるほどぞ知らるる

山が深いので、なれ親しんだ鹿がすぐ近くにいることで、世間から遠ざかった程度が自然と知られることだ。

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山家集 - 寂然

あはれさは高野と君も思ひやれ
秋暮れ方の大原の里

哀れさは高野と同じだと、あなたも思いやってください。秋の暮れ方の大原の里を。

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山家集 - 寂然

ひとりすむ朧の清水友とては
月をぞすます大原の里

一人で住む私にとって、朧の清水が友としては月を澄ませて住まわせている、大原の里であることよ。

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山家集 - 寂然

炭竈のたなびく煙ひとすぢに
心細きは大原の里

炭竈からたなびく煙が一筋であるように、ひたすらに心細いのは大原の里であることよ。

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山家集 - 寂然

なにとなく露ぞこぼるる秋の田に
引板引き鳴らす大原の里

なんということもなく露がこぼれ落ちる。秋の田で鳴子を引き鳴らす大原の里では。

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山家集 - 寂然

水の音は枕に落つる心地して
寝覚めがちなる大原の里

谷川の水の音は、まるで枕もとに落ちてくるような心地がして、とかく夜中に目覚めがちな大原の里であることよ。

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山家集 - 寂然

あだに葺く草の庵のあはれより
袖に露置く大原の里

粗末に葺いた草の庵の哀れさから、袖に涙の露を置く大原の里であることよ。

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山家集 - 寂然

山風に峰のささ栗はらはらと
庭に落ち敷く大原の里

山風に吹かれて、峰の小さな栗がはらはらと、庭に一面に落ち敷く大原の里であることよ。

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山家集 - 寂然

ますらをが爪木にあけびさし添へて
暮るれば帰る大原の里

屈強な男が、薪にあけびを差し添えて、日が暮れると帰ってくる大原の里であることよ。

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山家集 - 寂然

葎はふ門は木の葉に埋もれて
人もさし来ぬ大原の里

葎の這う門は木の葉に埋もれて、人も訪れてこない大原の里であることよ。

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