山家集 - 西行
幻のような夢を現実として見ている人は、まぶたも合わせずに夜を明かしているのだろうか。
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あの日から流れ落ちる涙を形見として、思い忘れるほんのわずかな時もない。
山家集
目の前ですっかり変わり果ててしまった世のつらさに、あなたまで涙を流させてしまったことよ。
松山で流す涙は、海のように深くなって、極楽の蓮の池に流れ入れてほしいと思う。
波の立つように騒ぐ心の水を静めながら、やがて咲くであろう蓮の花を、今は待つことよ。
山が深いので、杖にすがって分け入ってゆく老人の、その心の奥の深さには頭が下がることよ。
花ではない言の葉ではあるけれども、もしかして自然と色つやもあるかと、あなたに拾い取ってほしい。
山家集 - 藤原俊成
世を捨てて入った仏道の人の言の葉であるからこそ、しみじみとした哀れも深く、色つやも見えることだ。
思いに堪えきれずに口に出して言ったからこそ、池の水のように深い私の心のほども、あなたに知られることだろう。
根も葉もない噂ばかりが、飾磨の市が立つように立ってしまったことだ。まだ逢いはじめてもいない恋をしているのに。
包み隠しても、涙の色にあらわれて、忍ぶ思いは袖からもこぼれ散ってしまう。
どうにもならないことだ。私も人目をはばかっているうちに、強いて打ち明けもしないで思い悩むこの心づくしは。
かえって忍んでいる様子がはっきりと見えてしまうだろうか。これまでと変わった恋の思いに慣れていない我が身には。
私の様子を怪しんで人が問いただしても、すっかり成り行きにまかせて打ち明けたりはするまいと思う。
心の中では忍んでいると思っている甲斐もなく、はっきりと表れてしまうのは、恋の涙であったよ。
顔色に出して、いつから物思いをしているのかと尋ねる人がいたならば、どう答えたらよいだろう。