古典和歌stream

山家集 - 西行

今さらに何かは人も咎むべき
初めて濡るる袂ならねば

今さら、どうして人がとがめたりするだろうか。初めて涙に濡れる袂ではないのだから。

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山家集 - 西行

わりなしな袖に嘆きの満つままに
命をのみも厭ふ心は

どうにもならないことだ。袖に嘆きの涙が満ちるにつれて、命ばかりを厭わしく思う心は。

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山家集 - 西行

色深き涙の川の水上は
人を忘れぬ心なりけり

色の深い紅の涙の川の、その水源は、あの人を忘れられない心であったよ。

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山家集 - 西行

待ちかねてひとりは伏せど敷妙の
枕並ぶるあらましぞする

待ちきれずに一人で寝てはいるけれども、枕を並べて共に寝る様子をつい思い描いてしまう。

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山家集 - 西行

訪へかしな情けは人の身のためを
憂き我とても心やはなき

訪ねてきてほしいものだ。情けをかけるのは、その人自身のためでもあるのに。つらい身の私にだって、心がないことがあろうか。

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山家集 - 西行

言の葉の霜枯れにしに思ひにき
事の情けもかからましとは

便りの言葉が霜枯れたように途絶えてしまった時に、もう思っていた。何事の情けも、このようになってしまうのだろうと。

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山家集 - 西行

夜もすがら恨みを袖に湛ふれば
枕に波の音ぞ聞こゆる

一晩中、恨みの涙を袖にいっぱいにたたえていると、枕もとに波の音が聞こえてくる。

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山家集 - 西行

ながらへて人のまことを見るべきに
恋に命の絶えんものかは

生き長らえて、あの人の真心を見届けるべきなのに、恋のために命が絶えてよいものだろうか。

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山家集 - 西行

頼めおきしその言ひ事やあだなりし
波越えぬべき末の松山

頼みに思わせておいたあの約束の言葉は、むなしいものであったのか。波が越えてしまいそうな末の松山であることよ。

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山家集 - 西行

川の瀬によに消えやすきうたかたの
命をなぞや君が頼むる

川の瀬に浮かぶ、実に消えやすい泡のような私の命を、どうしてあなたは頼みにさせるのか。

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山家集 - 西行

かりそめに置く露とこそ思ひしか
あきに逢ひぬる我が袂かな

一時的に置いた露だとばかり思っていたのに、秋に逢い、飽きられてしまった我が袂であることよ。

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山家集 - 西行

おのづからありへばとこそ思ひつれ
頼みなくなる我が命かな

生き長らえていれば、自然とよいこともあるだろうと思っていたが、頼みにもならなくなってゆく我が命であることよ。

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山家集 - 西行

身をも厭ひ人のつらさも嘆かれて
思ひ数ある頃にもあるかな

我が身を厭い、あの人の冷たさも嘆かれて、物思いの数の多いこの頃であることよ。

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山家集 - 西行

菅の根の長く物をば思はじと
手向けし神に祈りしものを

長く思い悩むことはすまいと、手向けをした神に祈ったのに。

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山家集 - 西行

うちとけてまどろまばやは唐衣
夜な夜な返すかひもあるべき

心を許してまどろむことができるならば、唐衣を夜ごと裏返して寝る甲斐もあるだろうに。

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山家集 - 西行

我がつらきことにをなさんおのづから
人目を思ふ心ありやと

あの人の冷たさを、私のつらさのせいにしておこう。ひょっとして、あの人には人目を気にする心があるのかもしれないと。

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