古典和歌stream

山家集 - 西行

言ひ立てて恨みはいかにつらからん
思へば憂しや人の心は

はっきりと口に出して恨みを言ったら、どんなにつらいことだろう。思えばつらいことよ、あの人の心は。

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山家集 - 西行

嘆かるる心のうちの苦しさを
人の知らばや君に語らん

嘆かずにはいられない心の内の苦しさを、もしほかの人が知ったならば、あなたに語ってくれるだろうか。

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山家集 - 西行

人知れぬ涙にむせぶ夕暮は
ひきかづきてぞうち伏されける

人知れず流す涙にむせび泣く夕暮れは、衣を頭からかぶって、ついうつ伏してしまうことだ。

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山家集 - 西行

思ひきやかかる恋路に入り初めて
避くかたもなき嘆きせんとは

思いもしなかった。このような恋の道に踏み入りはじめて、避けようもない嘆きをすることになろうとは。

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山家集 - 西行

危ふさに人目ぞつねに避かれける
岩の角踏むほきの懸け道

危なさのために、人目がいつも避けられることだ。岩の角を踏んで渡る、崖の懸け道を行くように。

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山家集 - 西行

知らざりき身にあまりたる嘆きして
隙なく袖を絞るべしとは

知らなかった。身に余るほどの嘆きをして、絶え間なく涙の袖を絞ることになろうとは。

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山家集 - 西行

吹く風に露もたまらぬ葛の葉の
うらかへれとは君こそ思へ

吹く風に露もとどまらない葛の葉が裏返るように、私の心が恨みに翻れとは、あなたこそ思っているのだ。

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山家集 - 西行

我からと藻に住む虫の名にし負へば
人をばさらに恨みやはする

自分のせいだと、藻に住む虫のわれからという名を負っているので、人を少しも恨んだりはしない。

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山家集 - 西行

むなしくてやみぬべきかな空蝉の
この身からにて思ふ嘆きは

むなしく終わってしまうにちがいないことよ。蝉の抜け殻のようなこの身のせいで思う嘆きは。

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山家集 - 西行

包めども袖より外にこぼれ出でて
うしろめたきは涙なりけり

包み隠しても、袖の外にこぼれ出て、気がかりで油断ならないのは涙であったよ。

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山家集 - 西行

我ながら疑はれぬる心かな
ゆゑなく袖を絞るべきかは

我ながら疑わしく思われる心であることよ。理由もなく袖を絞るほど泣くはずがあろうか。

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山家集 - 西行

さることのあるべきかはと忍ばれて
心いつまでみさをなるらん

そんなことがあるはずがないと、自然と忍ばれて、この心はいつまで平静を保っていられるのだろう。

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山家集 - 西行

取り残し思ひもかけぬ露払ひ
あなくらたかの我が心や

取り残されて、思いもかけない露払いをすることになった。ああ、なんとも見通しのきかない我が心よ。

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山家集 - 西行

君に染む心の色の深さには
匂ひもさらに見えぬなりけり

あなたに染まった心の色の深さには、表に現れる色つやも、まったく見えないのであったよ。

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山家集 - 西行

さもこそは人目思はずなり果てて
あなさまにくの袖の雫や

いくらなんでも、すっかり人目を気にしなくなってしまって、ああ、なんと見苦しい袖の涙の雫であることよ。

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山家集 - 西行

かつすすぐ沢の小芹の根を白み
清げに物を思はずもがな

洗ったそばから沢の小芹の根が白くなるように、清らかに物思いをせずにいられたらよいのに。

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