古典和歌stream

山家集 - 西行

種漬くる坪井の水の引く末に
江鮒集まる落ち合ひのわだ

稲の種籾を浸す坪井の水を引いたその末に、江鮒が集まっている、流れの落ち合う淵であることよ。

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山家集 - 西行

白縄に小鮎ひかれて下る瀬に
持ちまうけたる小目の敷網

白い縄に追われて小鮎が下ってゆく瀬に、待ち構えて仕掛けておいた目の細かい敷網であることよ。

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山家集 - 西行

見るも憂きは鵜縄に逃ぐるいろくづを
逃らかさでもしたむ持ち網

見るのもつらいのは、鵜縄から逃げる魚を、逃がしもせずに掬い取ってしまう持ち網である。

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山家集 - 西行

秋風に鱸釣り舟走るめり
そのひとはしの名残慕ひて

秋風に吹かれて、鱸を釣る舟が走ってゆくようだ。そのわずかな名残を慕って。

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山家集 - 西行

年経たる浦の海人人言問はん
波を潜きて幾世過ぎにき

年を重ねた浦の海人に尋ねてみよう。波に潜りながら、どれほどの年月を過ごしてきたのかと。

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山家集 - 西行

黒髪は過ぐると見えし白波を
潜き果てたる身には知れ海人

黒髪はもう過ぎ去ってしまったと見える、その白波を、潜り尽くしてきた身として知るがよい、海人よ。

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山家集 - 西行

声せずは色濃くなると思はまし
柳の芽食む鶸の群鳥

もし鳴き声がしなかったならば、柳の色が濃くなったと思っただろう。柳の芽をついばむ鶸の群れを。

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山家集 - 西行

桃園の花にまがへる照り鷽の
群れ立つ折は散る心地する

桃園の花と見まがうほどの照鷽が、群れて飛び立つときは、花が散るような心地がする。

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山家集 - 西行

並びゐて友を離れぬ小雀の
ねぐらに頼む椎の下枝

並んでとまって、仲間から離れない小雀が、ねぐらとして頼りにしている椎の下枝であることよ。

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山家集 - 西行

月の澄む御祖川原に霜冴えて
千鳥遠立つ声聞こゆなり

月の澄みわたる御祖川原に霜が冷え冷えと降りて、千鳥が遠くへ飛び立つ声が聞こえてくる。

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山家集 - 西行

立ちのぼる月のあたりに雲消えて
光重ぬる七越の峰

昇ってゆく月のあたりから雲が消えて、光をいくえにも重ねる七越の峰であることよ。

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山家集 - 西行

敷き渡す月の氷を疑ひて
ひびの手まはる味の群鳥

一面に敷き広げた月の光の氷を本物の氷かと疑って、ひびの柵の手を回り飛ぶ味鴨の群れであることよ。

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山家集 - 西行

いかで我心の雲に塵据ゑで
見るかひありて月を眺めん

どうにかして私は、心の雲に塵をとどめずにいて、見る甲斐があるように月を眺めたいものだ。

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山家集 - 西行

眺め居りて月の影にぞ世をば見る
すむもすまぬもさなりけりとは

眺めていて、月の光によってこそ世の中を見ることだ。住むことも住まないことも、月が澄むことも澄まないことも、そうしたものなのだと。

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山家集 - 西行

雲晴れて身に憂へなき人の身ぞ
さやかに月の影は見るべき

心の雲が晴れて、身に憂いのない人こそが、はっきりと月の光を見ることができるのだ。

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山家集 - 西行

さのみやは袂に影を宿すべき
弱し心よ月な眺めそ

そうしてばかり、涙に濡れた袂に月の光を宿しているべきだろうか。弱い心よ、月を眺めるな。

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