古典和歌stream

山家集 - 西行

伊勢島や月の光のさひか浦は
あかしには似ぬ影ぞ澄みける

伊勢島よ、月の光の照らすさひかの浦では、明石とは比べものにならないほど明るく、月影が澄んでいることだ。

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山家集 - 西行

池水に底清く澄む月影は
波に氷を敷き渡すかな

池の水に底まで清く澄んで映る月の光は、波の上に一面に氷を敷きつめたようであることよ。

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山家集 - 西行

月を見てあかしの浦を出づる舟は
波のよるとや思はざるらん

月を眺めながら明石の浦を漕ぎ出していく舟は、あまりに明るいので、波の寄せる夜だとは思わないのだろうか。

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山家集 - 西行

離れたる白良の浜の沖の石を
砕かで洗ふ月の白波

岸から離れた白良の浜の沖の石を、砕くことなく洗っている、月の光に照らされた白波よ。

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山家集 - 西行

思ひ解けば千里の影も数ならず
至らぬ隈も月にあらせじ

思い悟ってみれば、千里を照らす月の光も物の数ではない。光の届かない隈も、月にはあらせまい。

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山家集 - 西行

おほかたの秋をば月に包ませて
吹きほころばす風の音かな

世間一般の秋の趣はみな月に包ませておいて、それを吹きほころばせる風の音であることよ。

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山家集 - 西行

何事かこの世に経たる思ひ出を
問へかし人に月を教へん

この世に生きてきた思い出は何なのかと、問うてほしいものだ。そうしたら人に、それは月だと教えよう。

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山家集 - 西行

思ひ知るを世には隈なき影ならず
我が目に曇る月の光は

思い知ることだ。世間では隈なく照っている光であっても、私にとってはそうではない。涙に曇る私の目に映る月の光は。

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山家集 - 西行

憂き世とも思ひ通さじ押し返し
月の澄みける久方の空

この世を憂き世だとばかり思い通すことはするまい。思い返してみれば、月がこのように澄んでいる大空なのだから。

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山家集 - 西行

月の夜やがて友とをなりていづくにも
人知らざらん住みか教へよ

月の夜に、そのまま私の友となって、どこであってもよいから、人の知らない住みかを教えてくれ。

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山家集 - 西行

信楽の杣の大路はとどめてよ
初雪降りぬむこの山人

信楽の杣山の大路は、人の通いをとどめてくれ。初雪が降ったのだ、向こうの山の山人よ。

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山家集 - 西行

急がずは雪に我が身や留められて
山辺の里に寺を待たまし

急がなかったならば、雪に我が身は引き留められて、山辺の里で寺を待っていたことだろうか。

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山家集 - 西行

あはれ知りて誰か分け来ん山里の
雪降り埋む庭の夕暮

もののあわれを解して、誰が雪を分けて訪ねて来るだろうか。山里の、雪が降り埋めている庭の夕暮れに。

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山家集 - 西行

湊川苫に雪吹く友舟は
むやひつつこそ夜を明かしけれ

湊川で、苫に雪の吹きつける連れ立った舟は、互いにつなぎ合いながら夜を明かしたことだ。

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山家集 - 西行

筏士の波の沈むと見えつるは
雪を積みつつ下るなりけり

筏士が波に沈んでいくように見えたのは、筏に雪を積もらせながら川を下っていたのであったよ。

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山家集 - 西行

たまり居る梢の雪の春ならば
山里いかにもてなされまし

梢にたまっている雪が、もし春の花であったならば、この山里はどれほど人にもてはやされたことだろう。

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