古典和歌stream

山家集 - 西行

大原は芹生を雪の道に開けて
四方には人も通はざりけり

大原では、芹生の里へ通じる道だけを雪の中の道として開けておいて、ほかの四方には人も通わないことだ。

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山家集 - 西行

晴れやらで二村山に立つ雲は
比良の吹雪の名残なりけり

すっかりは晴れきらないで二村山にかかっている雲は、比良の山の吹雪の名残であったよ。

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山家集 - 西行

雪しのぐ庵のつまをさし添へて
跡とめて来ん人を留めん

雪をしのぐ庵の軒端をさし添えて広げ、雪の上の足跡をたどって訪ねて来る人を、引きとどめよう。

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山家集 - 西行

悔しくも雪の深山へ分け入らで
麓にのみも年を積みける

悔しいことに、雪の深い山の奥へと分け入ることもしないで、麓でばかり年を重ねてしまったことだ。

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山家集 - 西行

古き妹が園に植ゑたる唐なづな
誰なづさへと生ほし立つらん

昔の恋人が庭に植えた唐なずなよ。いったい誰に馴れ親しめといって育てているのだろうか。

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山家集 - 西行

紅のよそなる色は知られねば
筆にこそまづ染めはじめつれ

紅のように表に出るはずの思いの色は、よそからは知られないので、まずは筆によってこそ、恋文に思いを染めはじめたのだ。

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山家集 - 西行

さまざまのなげきを身には積み置きて
いつしめるべきおもひなるらん

さまざまの嘆きを、投げ木を積むように身に積み重ねておいて、いつになったら鎮まる恋の思いの火なのだろうか。

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山家集 - 西行

君をいかで細かに結へる繁目結ひ
たちも離れず並びつつ見ん

あなたを、どうにかして、細かに結い上げた繁目結いの目のように、立ち離れることなく、いつも並んで見ていたいものだ。

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山家集 - 西行

恋すとも操に人に言はればや
身に従はぬ心やはある

恋をしていても、平然として変わらない人だと、人に言われたいものだ。身に従わない心などあるだろうか、いや、ありはしない。

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山家集 - 西行

思ひ出でよ三津の浜まつよそだつと
志賀の浦波立たん袂を

思い出してくれ。三津の浜松のように待ち続け、あなたがよそよそしくなったと、志賀の浦波が立つように涙の波の立つ私の袂を。

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山家集 - 西行

疎くなる人は心の変はるとも
我とは人に心置かれじ

疎遠になってゆく人は心が変わってしまうとしても、自分の方からは、人に心を隔てられるようなことはするまい。

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山家集 - 西行

月を憂しと眺めながらも思ふかな
その夜ばかりの影とやは見し

月をつらいものと思って眺めながらも、思うことだ。あの夜だけの光だと見ていただろうか、いや、そうではなかった。

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山家集 - 西行

我はただ返さでを着ん小夜衣
着て寝しことを思ひ出でつつ

私はただ、裏返すことなくそのままに着ていよう、夜の衣を。あの人と共に着て寝たことを思い出しながら。

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山家集 - 西行

川風に千鳥鳴きけん冬の夜は
我が思ひにてありけるものを

川風の中で千鳥が鳴いたという冬の夜は、実は私の恋の思いそのものであったのに。

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山家集 - 西行

いざさらば盛り思ふもほどもあらじ
藐姑射が峰の花にむつれじ

さあ、それならば、栄える盛りを思うのも、もう長くはないだろう。藐姑射の峰の花には、なれ親しむまい。

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山家集 - 西行

山深く心はかねて送りてき
身こそ憂き世を出でやらねども

山深くへ、心はもう前々から送っておいた。身こそ、この憂き世をすっかり出てしまうことはできないけれども。

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