古典和歌stream

山家集 - 西行

言ひ捨てて後の行方を思ひ出でば
さてさはいかに浦島の箱

言い捨てて去ったあとの行く末を思い出したならば、さて、それではどうなるというのか、浦島の箱は。

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山家集 - 西行

世の中に亡くなる人を聞くたびに
思ひは知るを愚かなる身に

世の中で亡くなる人のことを聞くたびに、無常を思い知りはするのだが、愚かなこの身には、それが身にしみないことだ。

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山家集 - 西行

珍しな朝倉山の雲居より
慕ひ出でたる明星の影

すばらしいことだ。朝倉山の空から、慕うように現れ出た明けの明星の光よ。

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山家集 - 西行

名残いかに返す返すも惜しからし
其駒に立つ神楽舎人は

名残はどれほど、返す返すも惜しいことだろう。神楽の終わりの「其駒」に立って舞う神楽の舎人たちは。

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山家集 - 西行

御手洗に若菜すすぎて宮人の
真手に捧げて御戸開くめる

御手洗川で若菜をすすいで、神に仕える宮人が両手に捧げ持ち、御殿の扉を開くようだ。

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山家集 - 西行

長月の力合はせに勝ちにけり
わがかたをかを強く頼みて

九月の力比べの相撲に勝ったことだ。我が方の、片岡の神を強く頼みにして。

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山家集 - 西行

今日の駒は美豆の菖蒲を負ひてこそ
敵を埒に駆けて通らめ

今日の競べ馬の駒は、美豆の菖蒲を身に負ってこそ、相手を埒のうちに駆け抜けて通るであろう。

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山家集 - 西行

御輿長の声先立てて下ります
をとかしこまる神の宮人

御輿長が声を先立てて、神輿がお下りになる。「を」と応えてかしこまる神の宮人たちよ。

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山家集 - 西行

み熊野のむなしきことはあらじかし
むしたれいたの運ぶ歩みは

み熊野への参詣がむなしく終わることはあるまいよ。むしたれいたの運ぶ一歩一歩の歩みは。

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山家集 - 西行

新たなる熊野詣でのしるしをば
氷の垢離に得べきなりけり

霊験あらたかな熊野詣でのご利益は、氷のように冷たい水で身を清める垢離によってこそ得られるものであったよ。

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山家集 - 西行

初春を隈なく照らす影を見て
月にまづ知る御裳濯の岸

初春を隅々まで照らす光を見て、月によってまず知るのだ、御裳濯川の岸に鎮まる神の恵みを。

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山家集 - 西行

御裳濯の岸の岩根に世をこめて
固め立てたる宮柱かな

御裳濯川の岸の岩根に、末長い世をこめて、固くしっかりと建てた宮柱であることよ。

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山家集 - 西行

惑ひてし心を誰も忘れつつ
ひかへらるなることの憂きかな

かつて迷い苦しんだ心を誰もが忘れてしまっては、なお世に引き留められているということの、なんとつらいことか。

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山家集 - 西行

引き引きに我が得てつると思ひける
人の心やせはまくの絹

めいめいに引き合って、自分こそが手に入れたと思っていた人の心は、せはまくの絹のようなものであろうか。

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山家集 - 西行

末の世の人の心も磨くべき
玉をも塵に混ぜてけるかな

末の世の人の心をも磨くはずの宝の玉までも、塵の中に混ぜてしまったことだ。

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山家集 - 西行

悟り広きこの法をまづ説き置きて
二つなしとは言ひ極めける

悟りの広大なこの教えを、まず説いておいて、そのうえで、真実の道は二つとないのだと、言い極めたのだ。

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