古典和歌stream

山家集 - 西行

山桜つぼみ始むる花の枝に
春をばこめて霞むなりけり

山桜がつぼみはじめた花の枝に、春をすっかりこめて、霞がかかっているのであったよ。

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山家集 - 西行

身につきて燃ゆるおもひの消えましや
涼しき風のあふがざりせば

身にまといついて燃えさかる思いの火は、消えただろうか、いや消えはしなかっただろう。涼しい風があおいでくれなかったならば。

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山家集 - 西行

花までは身に似ざるべし朽ち果てて
枝もなき木の根をな枯らしそ

花を咲かせるところまでは、わが身には似つかわしくないだろう。せめて、朽ち果てて枝もない木の根を、枯らさないでくれ。

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山家集 - 西行

誓ひありて願はん国へ行くべくは
西の門より悟り開かん

仏の誓いがあって、願う国へ行くことができるのならば、西の門から悟りを開こう。

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山家集 - 西行

さまざまに掌なる誓ひをば
南無の言葉にふさねたるかな

さまざまに、千の掌に込められた誓いを、「南無」の一言に束ねているのだなあ。

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山家集 - 西行

野辺の色も春の匂ひもおしなべて
心染めける悟りにぞなる

秋の野辺の色も春の花の匂いも、すべて、心を深く染めたものが、そのまま悟りとなるのだ。

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山家集 - 西行

沢の面に更けたる鶴の一声に
驚かされて千鳥鳴くなり

沢の水面で、夜更けに鳴いた鶴の一声に目を覚まされて、千鳥が鳴いているようだ。

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山家集 - 西行

友になりて同じ湊を出で舟の
行方も知らず漕ぎ別れぬる

連れになって同じ湊を出た舟が、互いの行方も知らないまま、漕ぎ別れてしまったことだ。

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山家集 - 西行

滝落つる吉野の奥の宮川の
昔を見けん跡慕はばや

滝の落ちる吉野の奥を流れる宮川が、昔のさまを見ていたであろうその跡を、慕い訪ねたいものだ。

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山家集 - 西行

我が園の岡辺に立てる一つ松を
友と見つつも老いにけるかな

わが庭の岡のほとりに立っている一本の松を、友として眺めながら、私も老いてしまったことだ。

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山家集 - 西行

さまざまのあはれありつる山里を
人に伝へて秋の暮れぬる

さまざまなしみじみとした趣のあった山里のことを、人に伝えて、秋が暮れてしまった。

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山家集 - 西行

山賤の住みぬと見ゆるわたりかな
冬にあせゆく静原の里

山に暮らす人々だけが住んでいると見えるあたりであることよ。冬になって寂れていく静原の里は。

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山家集 - 西行

山里の心の夢にまどひをれば
吹きしらまかす風の音かな

山里で、心の夢に迷っていると、吹きつけてその夢を醒まし、しらけさせる風の音であることよ。

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山家集 - 西行

月をこそ眺めば心浮かれ出でめ
闇なる空に漂ふやなぞ

月をこそ眺めるならば、心が浮かれ出もしようが、闇の空にさまよっているのは、いったいなぜなのか。

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山家集 - 西行

波高き芦屋の沖を隠れ舟の
ことなくて世を過ぎんとぞ思ふ

波の高い芦屋の沖を、物陰に隠れて行く舟が無事であるように、何事もなくこの世を過ごしたいと思う。

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山家集 - 西行

ささがにのいと世をかくて過ぎにける
人の人なる手にもかからで

蜘蛛の糸を懸けるように、ほんとうにこのようにして世を過ごしてきたことだ。人並みの人の手にもかからないで。

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