古典和歌stream

金槐和歌集 - 源実朝

朝清め格子なあけそ行く春を
わが閨のうちにしばしとどめむ

朝の掃除をする者よ、格子を開けてくれるな。過ぎてゆく春を、私の寝室の中にしばらくとどめておこう。

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金槐和歌集 - 源実朝

惜しむとも今宵明けなば明日よりは
花の袂を脱ぎや替へさむ

どれほど惜しんでも、今夜が明けたならば、明日からは花の色の衣の袂を脱いで替えることになるのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

聞かざりき弥生の山の郭公
春加はれる年にはありしか

これまで聞いたことはなかった、三月の山のほととぎすの声など。春が一月加わった年であったからなのだなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

見てのみぞ驚かれぬるぬばたまの
夢かと思ひし春の残れる

見るだけで、はっと驚かされたことだ。夢であったかと思っていた春が、ここに残っているのだから。

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金槐和歌集 - 源実朝

惜しみこし花の袂も脱ぎかへつ
人の心ぞ夏にはありける

名残を惜しんできた花の色の袂も、とうとう脱ぎ替えてしまった。人の心のほうが、もう夏になっていたのだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

夏衣たつきの山の郭公
いつしか鳴かむ声を聞かばや

夏衣を裁ち着るという、そのたつきの山のほととぎすよ。早く鳴いてほしい、その声を聞きたいものだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

春過ぎて幾日もあらねどわが宿の
池の藤波うつろひにけり

春が過ぎてまだ幾日も経っていないのに、わが家の池のほとりの藤の花は、もう色あせてしまった。

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金槐和歌集 - 源実朝

わが宿の垣根に咲ける卯の花の
憂きことしげき世にこそありけれ

わが家の垣根に咲いている卯の花がびっしりと茂るように、つらいことの多い世の中であることだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

神祭る卯月になれば卯の花の
憂きことの葉の数やまさらむ

神を祭る卯月になると、卯の花の葉が茂るように、神に訴える憂いの言葉の数も増すのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

五月待つ小田のますらをいとまなみ
堰き入る水に蛙鳴くなり

田植えの五月を待つ田の男たちは暇がないほど忙しく、せき止めて引き入れた水の中で、蛙が鳴いているようだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

郭公必ず待つとなけれども
夜な夜な目をも覚ましつるかな

ほととぎすを必ず待っているというわけではないのだけれど、毎夜毎夜、目を覚ましてしまったことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

時鳥聞くとはなしに武隈の
まつにぞ夏の日数経ぬべき

ほととぎすの声を聞くというわけでもなく、武隈の松ではないが、ただ待つことで夏の日数を過ごしてしまいそうだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

初声を聞くとはなしに今日もまた
山時鳥待たずしもあらず

初音を聞くというあてもないのに、今日もまた、山ほととぎすを待たないわけではない。

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金槐和歌集 - 源実朝

夏衣たちし時よりあしひきの
山郭公鳴かぬ日ぞなき

夏衣を裁って着た夏の始まりの時から、山ほととぎすの鳴かない日はない。

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金槐和歌集 - 源実朝

山近く家居しをれば時鳥
鳴く初声を我のみぞ聞く

山の近くに住まいを構えているので、ほととぎすの鳴く初音を、私だけが聞くことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

夕闇のたづたづしきに郭公
声うら悲し道やまどへる

夕闇でおぼつかなく心細いなかで、ほととぎすの声がもの悲しく聞こえる。道に迷っているのだろうか。

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